本の街神田・三代目 あとつぎ物語


出席者 奥野浩史/纐纈久里/小宮山慶太/高林孝行/平尾浩一郎

司 会 加藤友美/白井/山田智子(日本エディタースクール)


(司 会)まず自己紹介してくださいますか?

(小宮山)小宮山です。今、神田支部の役員で文化厚生やっています。訃報のFAX流したり、まあ楽な仕事ですよ。

(平 尾)今、奥野書店のオヤジさんが神田支部のトップで、脇に3人いて、その下に僕ら3人がいて、7人でやってるんですよ。

(小宮山)ウチは古本屋と、上の階で飲み屋さんもやっています。結構、編集の人とかが大勢来ていますよ。本屋は俺で3代目です、昭和14年から。おじいちゃんが、もともと一誠堂書店で修行して、独立してから店を出したんだけどね。

(司 会)そういう修行とかって、結構あるみたいですね。

(小宮山)うん多い。ウチにも何人かいた時期もあるし・・・、その話はあとにしようか。

(平 尾)明倫館書店の平尾です。うちは理工学書の専門で、僕も3代目です。創業は、確か昭和16年。ウチは、おじいちゃんがどこか丁稚へいったとかではなくて、徳島のほうから出てきて、大学を出たあと、いろんな商売やって。なんか本郷で八百屋さんやったりとか、でも全部失敗して、古本屋さんに・・・。

(小宮山)そういうの、あんまり言わないほうがいいんじゃないの?(笑)

(平 尾)いや、なんか昔の月報とかに載ってるんですよ。それで兄弟にお金を工面してもらって、はじめたらしいですね。それから親父の代になって、やがて僕の代に。

(高 林)東陽堂の高林です。仏書を専門にやっています。僕も3代目です。創業は、大正12、3年? だったかなあ確か。うちも一誠堂出身です。

(司 会)では、おじいさまが一誠堂の方で修行されて、独立されたんですね。

(高 林)はい、今はもういないですけど。今は親父といっしょにやっています。

(司 会)皆さん、組合の仕事の方もお忙しそうですよね。

(小宮山)でも、だいたい3人一組でやってる。からね。皆にはいつもお世話になっております。

(高 林)忙しい時期は忙しいけど、ヒマなときはヒマですよ。

(司 会)では、次に 紅一点の久里ちゃんから・・・。

(纐 纈)大屋書房の纐纈久里です。たまたま今回、10年ぶりくらいだよね、高校時代の友達の加藤友美ちゃん(司会の一人)と会って。お店に入ってきたときに、似てるなあって思ったら、そうだったんだよね。

(司 会)そう。初め中野さんに3人をご紹介いただいて、平尾さんのところに行ってから女性の後継者の方はいるのかって話を聞いていたら、大屋書房にいるって聞いてね。じゃあ久里が実際に手伝い始めたのは、1年くらい前からなの?

(纐 纈)うん、1年ちょいだね。

(司 会)じゃあ、皆さん、すみませんがベロベロにならないうちに、ちょっとお店のPRをお願いします。今回は、若い人を対象にした神保町のタウン誌づくり、ということなんです、結構今は活字離れとか言われてるじゃないですか。そういう人たちに、「古本屋ってオモシロイんだぞ!」っていうアピールなどあれば・・・。

(小宮山)って言うけどさ、昔からね、本を読む人は読んでいるし、読んでない人もいっぱいいたわけよ。だから結局は一緒だと思う。やっぱり今でも読んでいる人はちゃんと読んでますよ。

(平 尾)僕ね、大学生のときとか、社会人になってからもチャリンコとかで行って、電車乗ってなかったから、全然本読んでなかったの。それで、最近電車通勤になって、電車乗るじゃないですか。そうすると、自分も読むし、周りの人もメチャメチャ読んでる。

(司 会)平尾さんは、電車で通われているんですか?

(平 尾)今はね。それまで、店の上だったんですけど、最近、結婚したんで。

(一 同)おめでとうございます!

(司 会)じゃあ、皆さんは幼ななじみなんですか?

(小宮山)久里もちっちゃいときから知ってたもんね。

(高 林)親父が同じ年くらいだからね。

―ここで奥野登場。 改めて乾杯。

(司 会)たとえば、皆さん、以前は違う仕事をされていたりする方もいらっしゃいますか?

(小宮山)そういう人がほとんどですねえ。俺だけじゃない?ストレートに本屋になったのは。ああ、久里もそうか。

(司 会)転職組の方が多いんですか。

(小宮山)俺は、玉川大学に行ってて、5年間いたんですよ。勉強が好きだから(笑)それでね、修行に出てもよかったんですよ、本屋はやろうかなと思ってたから。ホントはデザインとかやってたんで、美術系の仕事に就きたかったんだけど、やっぱりね。実際、店もあるし社員もいるし、いいのかなあとか考えることも色々あって、まあ、食えるかどうかも分からないし。

(司 会)それで、大学を卒業したら、すぐお店の方へ入られたんですね。

(小宮山)そう、すぐ入ったの。それで、そのときに修行に行くって話もあったんだけど。人に使われることの良さっていうのも多分あると思うんですけど、店が神保町でしょう。そうすると、一番品物が集まってくる場所でやっていた方が、マイナスが少ないんじゃないって考えてね。

(司 会)平尾さんや高林さんは、以前はどんな感じだったんですか?

(平 尾)僕は大学を卒業して、銀行入りまして。

(小宮山)そこで奥さんを、見つけて(笑)それで、帰ってきた。

(奥 野)俺は、その作戦は失敗したぞ(笑)。

(平 尾)3年銀行に勤めました。まあ、もとから店には帰ってくるつもりで、銀行に入ったんですけどね。

(司 会)じゃあ、入ってから何年かしたら辞めて、お店の方を継ごうと考えてらしたんですね。

(平 尾)そうです。卒業の時、就職活動しようと思って「リクルートスーツ買うから、金出してよ。」って親父に言ったら「ウチは継ぐのか?」なんて言うんですよ。もう小宮山さんのところも店に入っているし、他にも若手の人が何人も入ってきたから、今はいい時期なんじゃないの、みたいなことを親父が言うんです。

(小宮山)このメンバーの中では、俺が一番早くに業界に入った。そのときには、日本書房のテルちゃん(西秋輝彦)秦川堂の永森進悟っていうのと、若手はそれくらいしかいなかったんですよ。7、8年前。最初はね、やっぱり結構やりにくかったですね。

(司 会)年代のギャップとかがあるってことですか?

(小宮山)うん。ちょっとやればね、やっただけ文句を言われたりとかね。ウルサイなあとか思いながら、勝手にやってきちゃったけど。そうしたら、どんどん、昔から知ってるような顔が入ってきて、だんだんこっちの勢力の方が多くなってきちゃった。

(司 会)はじめはお父さんたちの世代が、周り中にいたわけじゃないですか。

(小宮山)親父たちの世代は、今でもいるけどね。意見も違うしさ・・・。そんなこと、書かないでネ(笑)素面に戻っちゃった。

(司 会)じゃあ、世代交代が進みつつあるってことですよね。

(小宮山)普通の会社で健全であればさ、世代交代していかなくちゃしょうがないしね。固執するべきところも多分あるんだろうけど。若手が頑張れば、変わってくるんじゃないですか。

(司 会)高林さんは どんな感じだったんですか?

(高 林)僕は日本石油に行って。野球やってました。

―銀メダリストだよ。

(一 同)へ〜え、スゴイ!

(司 会)野球をされてたっていうのは、野球選手だった、お父さまの影響もあるんですか?

(高 林)さあ、それはどうでしょうねえ。小さいときから素振りとかはしていましたけど。

(司 会)じゃあ、初め日本石油に入ったときから、平尾さんみたいに、いつかは継ごうって考えていらしたんですか?

(高 林)いや、プロに行こうと思っていましたから。行けなくてオリンピックに出ちゃった。

(司 会)そういう世界にいらして、この業界に入るってことには、何もためらいとかってなかったですか?

(高 林)ためらいはなかったですよ。継ぐ人、いないですし・・・。

(司 会)一人っ子?

(高 林)妹がいるんですけど。長男ですから。

(司 会)でも、やっぱり多いんですね。最初に違うお仕事されてた方って。

(高 林)そうね。そっちの方が多いね。

(司 会)纐纈さんは、いかがでしょう。

(纐 纈)私は店に入るのを決めるときに、むかし父が大阪に1年修行に行ってたんで、私も大阪に行く話はあったんです。だけど、私は高校も長かったし、大学は4年制なんですけど入るまでも時間かかったし、トシがトシじゃないですか。やっぱり時間がかかるから先に父の下で、と思いまして、大学を出てすぐ入ったんです。

(司 会)前にちょっと聞いたとき、大学で勉強していたことと、今扱っているジャンルとは違うって言ってたじゃない?

(纐 纈)大学では現代文学だったの。 だから今でも小宮山さんのところで本は買わせていただいて。ジャンルは近・現代が好きだったけど、その元が江戸というか、その流れを汲んでいるからね。

(司 会)でも、お店を継ぐのに、葛藤とか戸惑いとかってなかった?

(纐 纈)いや、いろいろありました。でも今はないです。今は、やろう!と思って。もうまったく戸惑いはない。色々やりたいことがあったけど、本屋さんで頑張っていきます。

(司 会)奥野さんは、コンピュータ関係のお仕事だったんですよね。

(奥 野)そうです。システムエンジニアを8年やっていました。あれは辞められないんですよ、普通は。どんどん仕事が入ってきて、よっぽどのことがないと、そのまま現場で働き続けるんですよね。

(司 会)そうすると辞めるきっかけっていうのは、お父さんの方から「そろそろ手伝ってくれよ」とかがあったんですか?

(奥 野)あまり、よく覚えてないなあ。

(平 尾)でも、そういうのありますよね。うちなんか大阪までガンガン電話かかってきた時期がありました。もう電話に出なかった。いやだから。

(奥 野)そう、確かお店に勤めていた人が辞めて、急に手が足りなくなったから声がかかったんですよ。

(司 会)久里ちゃんのように、戸惑いだとかはなかったですか?

(奥 野)まあ戸惑いはなかったですね。本屋の息子だから本屋になるのかなって。

(司 会)今回の取材でいろいろと回ってみても、皆さん自然に継ぐことを決められた方が多いんだなと思ったんですよ。

(奥 野)会社に行ってたときは、別に継ぐとか継がないとかは、あまり考えてなくて。

(司 会)でも、お父さんのプッシュだとかがあった。

(奥 野)そうですね。最終的にはそうです。

(司 会)皆さん修行に行かれるって話してましたけど、修行って古書店の跡継ぎさんになるためには、そうするものなんですか?

(小宮山)結局モノの値段っていうのは数多く見ないと、っていうのが多いですから。そのコンディションだといくら、文芸書だったら帯がついていていくら。いつ出会えるか分からないモノに 何回か、たとえば3回出会うんだったら、その3回とも見てなきゃいけないわけ。随分昔これ見たなっていうのを覚えてくわけですよ。前回高かったなあ、じゃあ今日はどのくらいするかな、あ、やっぱり高かった。そうすると、これは高いんだなっていうふうに確信ができるでしょ。それで修行に出るっていうのは、今はもう時代に合っていないのかもしれないですよね。昔だったら、みんなに認めてもらうとか、もうちょっと違うイメージもあったと思うんだけど、最近はどうなんだろうなあ。

(小宮山)市場があるんですけど、月曜日から金曜まで。中央市会、洋書会、東京古典会、資料会、一新会、明治古典会って。

(司 会)それは、古書会館で毎日行われてる交換会のことですよね。

(小宮山)そう。そういうのがあって。僕は中央市会と一新会と明治古典会の経営員やってて。丸7年やってきた。それが逆に言うと、修行になったのかな。

(司 会)小宮山書店さんの場合は、扱っているジャンルが広いじゃないですか。だからいろんな会に顔を出すってことになるんですよね?久里んとこは、火曜日だけだっけ?

(纐 纈)うん。あとは明治古典会にも時々行くけど、会員になってるのは東京古典会。

(司 会)交換会っていうのは、入札っていうのを記事で読んだんだけれども、あれは目利きになるっていうか、勉強になるって書いてあった。

(纐 纈)品物を多く見るからね。

(司 会)それは初めての時とか、皆さん自分で札を書いて、入れるわけですよね。やっぱり緊張するものですか?

(小宮山)そうねえ、どうだったろ。でね、業界でもトップのような人が100万円単位のものでも、スゲエ汚い字で書くんですよ。グジャグジャ〜ってね。

(司 会)達筆なんですね(笑)。

(小宮山)慣れなんだね。読めないような記号とかも、経営員は読まなきゃいけないから。それなりにキャリアがないと、キチンとした札の開け方もできないし。で、モノがそこに置いてあって、その横の封筒を全部開けられて、いろんな人の札が入ってる。それをその場で見られるのが面白いわけ。5万円しか入れてない人も入れば、100万円の人だってね。

(司 会)そんなに幅があるんですか。

(小宮山)極端な例だけどね。でも10万円と100万円ってことは結構ある。桁違いっていうのは、開札側が間違えちゃってね。11万円と入れてた人がいて、こっちは100万だったとする。それを10万って読んじゃって、11万円で落としちゃったりする事もあるね、慣れてないと。

(司 会)それで、クレームつかないんですか?

(小宮山)それはすぐ分かるから。おかしいよってことになってね。

(司 会)そういうふうにシステム化されたのって、もうずいぶん前からなんですか?

(小宮山)そうですね。形態的にはそんな変わってないと思うんですけど。昔は振り市っていうのがあって。発声だと強い人がいくら!って言うと、他のヤツが声かけられないとかね。他がいくらって言ってきても、止められちゃったりボンボン上行っちゃったり。そうすると買えなくなっちゃうじゃないですか。

(高 林)あと、時間の短縮っていう面もある。自分のジャンルが出てこないと、そこにずっといないといけないじゃないですか。

(平 尾)昔は11時、12時までやってたって言いますよ。朝9時から夜10時までとか。そうしたいろんな意味で今の形になったんだろうと思うけど。

(司 会)なんか、入札に関して、失敗談とかあります?

(纐 纈)私なんか入札に関しては、父親に確かめに行ったりして、これを入れろって言われてるから。まだまだ。

(奥 野)経営員になったのは5年前。皆だいたい最初に経営員やるんです。顔を覚えてもらうっていう意味もありますよね。だいたい最初は力仕事で。入札するにしても、ね。何がなんだか分からないから。

(纐 纈)私は経営員、やってないの。

(平 尾)僕もやってないです。

(奥 野)あ、そうか。それがいいとか悪いとかじゃなくて、私の場合は、そうだったっていう・・・。

(司 会)やっぱり初めはチンプンカンプンなわけですか?

(全 員)まだチンプンカンプン。いまだにね。

(司 会)高林さんは、この仕事について何年目くらいですか?

(高 林)今、3年目です。

(司 会)平尾さんは?

(平 尾)僕、4年目です。

(小宮山)僕は8年目です。

(司 会)それでも、まだ?

(平 尾)見たことない本、入れられないですもん。

(司 会)でも本って山ほどなんて言いきれないくらいスゴイ量があるじゃないですか。

(奥 野)見たことない本の方が多いよね。

(平 尾)見たことないのが多いから、今までの経験でいくらくらいにだいたいなるだろうな、っていうのに、時間がかかるから。

(司 会)お父さんの世代でも、見たことのない本っていうのが、やっぱりあるわけ。

(平 尾)それをね、今までの経験と勉強と、まあ、カンもあるのかもしれないけれど、大体こんなもんだろうっていうとこで。でも確信持てるまでは、なかなか難しいよね。入れたとしても、ゲソ札になっちゃうから。

(小宮山)でも相場って間違いなく生きてるもんだから。たとえば前回8万円したものが、次も8万円で買えるかっていったら、そうでもないし。安くなることも多いですけど入札の仕方で10万円、8万円、6万円とかって入れておくとかね。

(司 会)えっ、何枚も入れられるんですか?

(小宮山)1万円以上だったら3枚、10万円以上だったら4枚、50万以上だったら5枚、100万以上だったら、6枚って決まってるの。

(司 会)上限から下限まで、6通り入れられるってことですよね。

(小宮山)一番下の札が、100万円ならばね。

(司 会)底値が100万円だろうっていったら、あと他に5枚入れられる、と。

(小宮山)そう、そういうこと。だから一番下札が80万からだけれど120万でも買ってもいいよって場合は、5枚になっちゃう。

(司 会)たとえば小宮山さんのお店はジャンルが広いわけじゃないですか。だから価値を知る上でも、知識の広さっていうのは、スゴイものになりますよね。

(小宮山)それがまったく難しいもんでね、商売だから。店員もいるし親父もいるから。今思ってるのは、全部をそつなくやっていくより、僕は1階で近代文学をやってるんですけど、まずはそこをキチンと ある程度のところまでやっていかないと、器用貧乏で終わっちゃうから。

(司 会)じゃあ以前勉強されてた美術関係のものを担当できると嬉しいとか、あるんですか?

(小宮山)いやあ別にやろうと思えばできるだろうけどさ。 ただ、今は 近代文学の方が俺の中で楽しいから。

(司 会)実際、他の方たちも店ごとに、特有な分野があるわけじゃないですか。それに関連する勉強を過去に自分が興味持ってやってきたかっていうと、そうじゃないってことの方が多いでしょう?。それは、どうやって勉強してくんですか?

(高 林)自分はキリスト教の学校なのに、仏書扱ってますもん。

(平 尾)僕も商学部だから、全然 関係ない。

(司 会)でも、そういう本をお店で扱っていて、触れていくと、そのジャンルが好きになったり、愛着がわいてくるとか・・・。

(小宮山)そりゃあ、もちろんキライではないですよ。ただ、やっぱり仕事だから、与えられたものは、キチンとやりたいなって。何やろうかっていうのを、若手からでも早く見つけられたヤツは、周りのヤツを見てても、早いペースで成長してるだろうし、やっぱりそれが自分の中でキチンと見つけられないと、やっぱり時間かかってるなあって人は結構いるしね。

平 尾)僕らはねえ、親父が理工書やったり、仏書やったりしてるから、もうジャンルはね。

(高 林)その流れで、なかなか変えられない。

(司 会)じゃあ、お父さんたちの代は、今お店で扱っている自然科学であったり、そういうジャンルがもともと好きで、そういう本を扱ってたんですか?

(平 尾)いやあ、親父も おじいちゃんがやってたから。

(小宮山)何をやるかっていうのは、商売だから、ここが抜けてると。たとえば、明倫館さんだったら、理工書はね、神保町では、以前わりとここだっていう店がなかったわけだからね、狙いどころがよかった。で、時代の流れもあるじゃない。昔は、ホント考古学なんか今は売れない分野だけどバカみたいに売れた時代があった。ウチの店の前で整理券配ったとかって言ってたもん。

(司 会)へえ〜それっていつごろですか?

(小宮山)今から20何年前かなあ。僕は知らないんだけど、ウチで働いていた人たちが、そんな時代があったんだぞってね。やっぱりその時代、時代によって、結構変わってくるからさ。

(司 会)じゃあ、逆にこれから、世間の動向っていうか、それによって、扱ってるジャンルを変えられるって可能性もあるんですか?

(小宮山)ウチはわりと広くやっちゃってるから、むしろこれから生き残っていくためには、もうちょっと絞って。でも専門店化はいっぱいあるからね、神保町の中で。どうすればいいのかなっていうと、やっぱり抜けてる分野を探したいって思う。それに景気の悪いときだから、俺は 本を安く買いたいって人をさらってみようという考えがあるね。一階のわきに車庫があるんですけど、土・日は開けて、ガレージセールみたいなのをね。均一本を出したりとかさ。

(司 会)他の方はどうですか? ゆくゆく世間のニーズに合わせて、ジャンルが変わるって可能性もあるんですか?

(高 林)それは、売れ筋をやりたいはやりたいけど、これからやっても間に合わないことだってあるし。これから小宮山さんとこを追っかけるにしたって、これからやっても、また時代が流れちゃうし。それよりは、自分のところを伸ばしていった方がさ。

(平 尾)今やってる分野の中で、どこか未知があればとは思うけど。ただ、もうこれだけ本が増えて、本屋さんが増えて、みんな扱ってくると逆にウチの場合は、いま本があふれてるから。みんなもそうかもしれないですけど、売れない本をどう処分するかっていうか、売れないところをどう見分けるかっていう部分の方も大切って思う。売り場面積もあるし。

(高 林)専門化しちゃうと、ある程度、市場での相場も維持しなくちゃいけないから、ダブってる本でも買わなくちゃいけないんですよ。つまり、値段をある程度、維持しなきゃいけないんで。

(小宮山)それ、大変だよね。

(高 林)結局10万で売ってるものを、市場で1万とかで落とされたら、他で2〜3万くらいで売られるわけじゃないですか。それでは困るんで。やっぱり10万くらいである程度、維持しないと。

(司 会)じゃあ、たとえば自分の店にある本が出てる、と。で店で10万で売っている、と。そうしたら、値段を下げられないように、買っちゃう?

(高 林)買うか、ある程度値段を維持しながら、他でそのくらいの値段をつけてもらうか、それくらいに値段を入れなきゃいけない。

(小宮山)だからね、本ってオモシロイのは、たとえば東洋堂って仏書専門でしょう。で奥野書店に東洋堂で仮に10万円で売っているものが、ポコッて入ってきたとするよね。でも売り値は10万まではつけないわけですよ、きっと。7万円とかね。それくらいで、売るんだろうけど、じゃあどっちの方が売れるのかっていうと、そのための専門店だから。そういう筋のお客さんを彼のところは持ってるわけ。すると10万円であっても、その方を信用して買ってく。

(司 会)安いから売れるってものでもないんですね。

(小宮山)そうそう。別に奥野書店が悪いとか、そういう話じゃないよ。奥野書店の筋のものが入れば、当然、東洋堂では売れないし。だから、逆を言えば、本当に安く買いたいお客さんは、いろんなところを見てまわればいいと思う。信頼してるお店を作りたいって言うんであれば、行ってみればいいし。値段っていうのは、融通きかないことはないけれども、一応この品物はウチではこれですよって値段だから、値引きっていうのはどうなんだろうなって思う。

(平 尾)しかも実際、研究者も学生さんもどうか知らないけれど、一日中神田をくまなくまわって、いい本を探そうっていうお客さんは、やっぱり少ないでしょうね、昔に比べれば。だから、もうここに行って、お目当ての本を探すっていう、そのための専門店でもあるし。要は時間短縮っていうか。コンピューターで買うっていうのも、結局は時間短縮とか、面倒くさいっていうことだから、結局、それで専門店化していってるって部分もなきにしもあらずじゃないかなあ。

(司 会)古本屋さんのことを、少しずつ勉強していって、すごく興味があるのが、どうやってその知識っていうか、見る目を養っているのかなっていうのが、すごい疑問に思っていて。

(小宮山)それは逆に言えば、すごく単純なことでね。欲しい、好きな洋服やアクセサリーがあるでしょう。毎日、見ていなくったってさ、何回か見ていれば、覚えるでしょう。あれの相場はいくらだったなって。それを、商売で毎日見てるわけ。毎回出ていれば覚えるよね。本だから、みんな分かんないやって思うだけであって、なんら変わりはないでしょ。

(平 尾)それに、昔は 均一本で出してた本を、最近見なくなって、それで、お客さんにやたら聞かれる「この本ないんですか?」って。あれ昔ね、外に300円で出してたのに、なんで今聞かれるのかなって。そういえば、最近見ないなあって。

(奥 野)あるあるある。

(平 尾)それで仕入れてきて、ヒュッと値段をつけてみたら、ちゃんと売れた。「あれえっ!」っていうところで、お客さんから教えてもらうことの方が多いのかな。

(奥 野)それは、多いよね。

(平 尾)自分のところで、こんなもんだろうって思ってつけたものが、全然売れなかったりして。これは価値あるだろう、と思ってつけててもね。

(奥 野)逆に安くつけちゃって、お客さんに「なんでこんな安いの?」とか、言われて。次の日、それで値段つけたら、かなり売れたとかね。そりゃあお客さんの方が詳しいですよ。

(平 尾)そこまで分かれば、学者やってるし。

(纐 纈)お客さんから教えてもらうことがすごく多い。父もそう言ってるし。

(司 会)久里のところで扱ってるものは、本じゃないものとかも結構あるじゃない?

(纐 纈)うん。

(司 会)それは、絵?それは、絵の市場っていうのがあるの?交換会?

(纐 纈)交換会。今でいうせりなんですよ。古書会館じゃなくて違う場所でやってるんです。

(司 会)やっぱり本と版画とか錦絵っていうのは違うモノなのかなあ?

(纐 纈)本の中でも、和本の中に絵本があるわけです。その絵本を描いている人と錦絵を描いている人とは、一緒というか、通じるものは全部あるから。

(司 会)たとえば本とかをいつも見てるじゃない?仕入れたりするために。そういうのに絵とかも載ってるよね。そういうのを見つつ、だんだん、他の絵に対しても、見る目が養われていくの?

(纐 纈)それは、やっぱり通じるものはある。

(司 会)あと実際、モノを見る以外に。勉強会とか行ってるじゃない。

(奥 野)古典会は、やってるんだよね。

(司 会)それは、実際、どういうものなの?講師の人が来るの?たとえば久里のお父さんみたいな人とかが。

(纐 纈)お父さんじゃなくって、変体仮名とか、講師をお願いして。

(司 会)それの勉強会なの?

(高 林)宿題とかが出て、読んでるだけですよ。

(司 会)それは、古文みたいなものなの?

(高 林)いま伊勢物語、読んでます。

(司 会)それは、行書みたいなもの? くずれたような?

(高 林)もともとは漢字なんだけど、いわば行書のかな版。

(司 会)それを勉強するっていうのは、扱っている本を読むのに必要だから?

(纐 纈)うん、それは必要。

(高 林)読めなきゃ、だって売れないから・・・。

(纐 纈)うん、読めなきゃ売れない。

(高 林)活字を追うのは、ちゃんと旧字でも読めるようになるけど、巻き物とかでは仮名が必要だから。

(纐 纈)本の題名とかも、そうだから。

(司 会)若い人でやってるんですか?

(平 尾)若い人の中で、有志がいて、古典会に関わりがある若手の中の有志がやってる。

(小宮山)あのね、東京古典会っていうのは和本中心、大雑把にいうと、そういう感じなんだけど、それが勉強会をやるようになったっていうきっかけは、多分、俺らは明治古典会やってるんだけれど、それで若手でなんかやろうよというノリがあって。若手でなんかやらなきゃ始まらないだろうって話が。玉英堂の斎藤さんから、いろいろ提案してもらったりとか。斎藤さんっていうのは、多分、今の業界でトップの人だよ。それでね、明治古典会の方は勉強会っていいことなんだけど、僕らはそれを実践の場でなんか勉強できないかって。じゃあ、自分で買った品物とかね、店にある品物とかなんでもいいから、共同目録をみんなで出してみましょうよ、って企画して。そのときの幹事8名くらいと、経営員が8名から9名くらいが集まって、1冊の目録を作った。3年前に1回出して。それから去年ホントに若手だけでやろう、って話を出して、その2号も出して。ウチは結構成功したかな、頑張って。

(司 会)それは、勉強会でいろいろ勉強したりしたんですか?

(小宮山)いや、勉強会は、僕らの場合特別なか ったんだけど。市場が勉強なんだから。

(司 会)この東京古典会、明治古典会っていうのは、市会の名前ですよね。

(小宮山)そうそう。それで僕ら、明治古典会の方は、市場で勉強したことを昇華させて目録にして。みんなで共同目録出すっていうのは、3、4年でいいと俺は思ってる。そのあとは、自分でね、自家目録。どの店も自家目録は出しているけど、その中に自分バージョンみたいなものを、今考えてる。

(司 会)目録を各書店さんで作られるっていうのは、結構大変な作業なんですか?

(高 林)大変ですよ。めちゃめちゃ大変。

(奥 野)大変っていうか、それが仕事。

(平 尾)ウチやってねえな。

(纐 纈)ウチも作ってない。

(小宮山)久里ンとこだったら、作れるよ。

(奥 野)久里ちゃんとこ、作った方がいいよ。

(纐 纈)ウチの父が作らないって。

(奥 野)それ、順番逆だよ。ホームページの前に、作ろうよ。

(小宮山)まあね、いろんな店があるからね。その人の自由だから。

(纐 纈)うん。だから作ってるお店もないお店も、両方ありますよ。作ってる方が大半ですけど。

(司 会)その目録っていうのは、希望された方に送ってあげて、その目録を見て注文がくるってシステムなんですか?

(高 林)希望されたとか、あと買ってくれた人とか・・・。

(司 会)じゃあ、お店に来られない方とかは?

(高 林)そういう人は、FAXとかでもらったりしますよ。

(平 尾)目録用の品物っていうのが、あるんですか。

(高 林)ウチはない。ウチは年2回出してるんで、その場でどんどん・・・。

(司 会)年2回、それは1回作るのにどのくらいかかるんですか。

(高 林)半年かかりますよ。

(小宮山)東陽堂さんの目録は、立派ですからね。

(平 尾)スゴイっすよ。

(司 会)それは、無料で配布してるんですか?

(高 林)そりゃあ、目録自体にあんまり値段は書かない方がいいですよ(笑)。

(小宮山)だから、やっぱり買った前例がある人とかさ、そういう人にしか行かないのかな。ホントはね、それじゃいけない時代になってきたから。インターネットっていうのとか。これから先、古書業界にね。奥野さんが専門だけど、今までは自分の店の値段っていうのは他の店に示したくないっていうのが、多分どの店のあったと思うんですよ。

(司 会)この前、ホームページをちょっとのぞいて古書検索したら、値段は出なかったですよね。

(奥 野)それは、神田の方は出てこないです。いろんなサイトが今あって。「日本の古本屋」とかは、値段出てきますよ。

(司 会)『オリーブ』とかって入れて、検索したんですけど。

(奥 野)それはね、本屋さんでやっぱり値段を知られたくないんで、打ち込んでないところがあるんですよね。

(高 林)マジですか?値段入れ大丈夫なんですか?

(奥 野)なんかねえ、ゼロとかいれておけばね。

(小宮山)だから、今、タカちゃんが、「マジ」って言ったけど、それでいいのかどうかっていうのが、これからのね、タカちゃんの考えることだよね。

(高 林)そうなんですよね。

(小宮山)値段を外に出してもオレんちは負けない!って自信と、品ぞろえがあれば、多分、出した方がいいと思うし。だから結構難しいよね。

(司 会)今までは、結構値段は他の店には知られたくないって傾向があった、と。

(小宮山)うん。見に行けば分かっちゃうけどさ。でも活字でパッと載ってると、値段つけるのだって分かりやすいじゃない。東陽堂いくらだ、じゃあウチはこれでいいや、とかさ。

(司 会)インターネットでも、売買はされてるんですか?

(奥 野)うん、されてますね。

(司 会)「日本の古本屋」さんに関しては、組合に加盟してる書店さんでないと、載せられないんですか?

(奥 野)ええ、もちろんそうですよ。そのための組合だから。

(司 会)他にどういうサイトがあるんですか?

(奥 野)ほかは「紫式部」とか「オールドブックマーク」とか・・・。

(平 尾)他の組合のサイトももちろんあるし、色々あるよね。

(高 林)探すのだけでも、大変ですよね。

(奥 野)「紫式部」っていうのは京都の?神奈川?「紫式部」って最初早稲田大学だっけ?

(平 尾)そうなんですか?今、週2回くらいメールが入ってきますよ。勝手にガンガン。

(纐 纈)それ、止めてくださいって入れたらいいんだよ。

(平 尾)そうしようかなって思ってるんだけど。

(司 会)こちらのホームぺージができあがったっていうのは、何年くらい前なんですか?

(奥 野)3年くらい前かな?

(司 会)それは、やっぱり若い人がどんどん入って、世代交代が進んできて、そこから出てきた発想なんですか?

(小宮山)いや、発想は上の人がつくって、俺らはどっちかっていうと面倒くさいやっていう感じ。本当にはじまったのって多分5、6年前なんじゃない?企画として。で、そのとき若手がいなかったからさ、俺も組み込まれてやってたんだけど、でもやってないから何も言えないんだよね。俺自身も必要だと思ってないから、全然、「どうしたらいいかねえ?」とか言われて「止めた方がいいんじゃないですか?」とか言っちゃったんだけど。それはそれで俺はいいと思うし、これからは必要としている人たちだけが集まってくる時代になってくるし。やりたければ、その人たちだけでやりなさいよ、と。今までは、みんなに声かけないと、全体で動く、組合で金を出す作業だったから、とりあえずいろんな人に声をかけてた。

(司 会)てっきり、ホームページっていうのは、若手が入ってきたから、はじまったことなのかと・・・。

(小宮山)そういうわけじゃない。でも、そういう形で、組合に関与したいって人間が増えてきたっていうのはあるんじゃないですか?店舗は全然田舎にあるけれども。サイトではね、店の大小なんて分からないでしょう。どんな人がやってるかも分かんないし。ダメオヤジがやってるかもしれないし(笑)。それはもう想像だけど架空の店が多いわけでしょう、倉庫だけで。

(司 会)じゃあね、若い人が、どんどんお店の手伝いとか始めて、実際、若手だけでやった企画っていうと?

(奥 野)明治古典会の共同目録だね。

(司 会)ここ何年かで、皆さん 若い方が入ってきて、変わってきたなあって感じることってありますか?

(奥 野)変わったもなにも自分が入ってきたばっかりだから。でも、神田の店は変わってるような気がする。神田に入ってきて新しくお店を開く人は、専門書やるところはない。やっぱりマンガとか、音楽とか。

(小宮山)たとえばね、この間、全古書連っていう大市会があったんです。全国の業者が買いにくるっていう。現場で、それを仕切らせてもらったわけですよ。で、やっぱり神田の若手が増えてくれば、声もかけやすいからね。「お前、あれやっとけよ」とかさ。みんなでやる仕事はやりやすくはなってきた。神田が若返ってくれば、やっぱり神田は強いと思うんですよね。エネルギッシュな奴が多くなると、全体の雰囲気もどんどん変わってくるだろうしね。

(司 会)お客さんだって、どんどん若くなっていく。

(奥 野)私なんかもそうですよ。だって、お客さんの方が本を知ってるから。同い年くらいで、国文学書探してる人とか、哲学書探してる人っていったら、もう相当エラい人だから。もう全然。逆に10歳くらい若いんじゃないか、みたいに見られて。そんなことも知らないのかって。よく話してみると、同じ年くらいなんだよね。

(司 会)逆に言えば、お客さんとのコミュニケーションというか、話が、自分の勉強になるっていうのがある?

(奥 野)それは、もう一番勉強になる。ま、市場もそうだし・・・。

(小宮山)いや、勉強になってるっていう部分はあるんだろうけど、自分の扱っているジャンルに関しては知らないことだって、ある程度強気に押さなければいけないわけですよ。商売だから。お客がなんで俺に聞いてくるかっていったらね、後押しをしてもらいたいわけね。10万円、どうしようかな、でもねお客さん、これはこうこうこういう理由でこの値段しますって。逆にホント正直にね、三島由紀夫とか僕は結構キチンとやってるんですけど、こっちの方が値段は安いんだけど、こっちの方がないからまずこっちを買っておいた方がいいですよ、とか そういうすすめ方もする。そうすると両方買っていってくれるわけですよ、最終的には。

(奥 野)だけど、品物の内容はともかく、有る無いとかどのくらい流通してるかってことは、確かに本屋が知ってる。

(小宮山)若手イコール勉強してますって言葉を聞きたいのかもしれないけど、やってるのは仕事なんだから。いかにしてお客さんに気持ちよく、誠実に後押しできるかっていうのは、売り子の立場はそうだよね。値段つけたり仕入れるっていうのは全然違ったレベルだけど。

(奥 野)勉強の内容はいろいろありますけどね、東京古典会がやってるのは、内容の方の勉強で、われわれがやった共同目録の方は、要するに商売の方の勉強ですよね。

(小宮山)当然、学者さんが来ちゃえばさ、俺たち内容では勝てないわけでさ。じゃあどうやって切り崩すかっていう、そっちがオモシロイわけじゃない。知ってることは向こうは山ほどあるけど、知らないことだって山ほどあるんだから。それでいかに信用してもらえるかって。

(奥 野)まあ、信用だもんね、最終的には。

(小宮山)客が店に入ってきてね「ねえよ」って言ったら終わりだしね。

(司 会)やっぱり笑顔が大事とかあるんですか?

(奥 野)かえって、笑顔ない方がいいかも・・・。

(小宮山)でも愛想よくやってるよ。社員にはキチンと挨拶しろとかね。挨拶すれば万引きとかも多いから「いらっしゃいませ」って、パッと目があって言えばさ、ある程度見られてるなって感覚も出るだろうし。

(奥 野)ウチはギュッって、にらんじゃったりとか。

(平 尾)ウチはほんとコワイよ。

(司 会)それは、ほっといてあげた方がお客さんが買いやすいだろうって考えからですか?

(平 尾)人にもよるんだろうけど、ウチはもう値段はこれだって。絶対値引きはしないし。店によって、売り方は全然違うけど、まあ値段がイヤだったら、買わなくて結構ですよって。

(小宮山)多趣多様だよね。来るお客さんが心地よいところにくればいいじゃないかって。「いらっしゃいませ」って言われて、帰るような人は帰ればいいし。

(司 会)高林さんのところは、どうですか?

(高 林)ウチは不愛想ですよ。不愛想、不愛想。

(司 会)でもね、座談会のお願いに行ったときは、親切に対応していただいた。

(小宮山)お父さん、愛想いいよね。

(司 会)久里ちゃんのところとか、見てるだけのお客さんとかでも来ていいんですか?

(纐 纈)全然。それはもうぜひ。

(小宮山)ウチもいいですよ(笑)でも入りにくい雰囲気だよね。

(纐 纈)最近一所懸命。戸を開けたりしてさ。ちょっとは入りやすいようにって。

(平 尾)逆に入りやすいようにしちゃうと、本が日に焼けるのイヤなんじゃない?

(纐 纈)いや、それは別にいいの。ただ、やっぱりだまって持ってっちゃう人とか・・・。

(小宮山)入り口にレジ作ればいいじゃん。

(奥 野)ああ、店のレイアウト変えて。

(平 尾)そしたら、お金持っていかれちゃうじゃん(笑)。

(小宮山)だからさ、これは品物とかそういう話じゃなくて、古本屋さんって、ホントあぐらかけた時代が多分あったんですよ。親父たちの代ね。

(司 会)ほっといても、売れちゃうってこと?

小宮山)そう、そういう時代があった。でも今、そうじゃないし、そんなの受け入れられないわけですよ。店によって違うかもしれないけど、俺らは本屋で棚を作ってるわけだから分かるよね、どこに何が入ってるかって。でも、客には分かんないじゃん、いきなり来て。近代文学の新しい目のところなんかは、作家別にアイウエオ順に並びかえたし、知らない人がポッと入ってきて、パッと見てっても、わかるような棚は作ってる。やっぱり工夫はしないとね。そうやって各店が努力していけば、まあ昔の形を継承していくのも、すごくエネルギー必要で、すごいことだと思うけど、まあ今はちょっと、と。

(司 会)それじゃあ、親の代が築いてきた古書街を、自分たちの代に変わってきて、こういうふうにして行きたいっていうのは、ありますか?たとえば5年後10年後には、お店をこうしていたいっていうのはあります?

(平 尾)自分の実力を高めるしかないんですよね。店のレイアウト、こうするっていうことにしても、売る勉強していって、また次を買わなきゃいけないから。売れて終わりじゃないんで。ウチなんかだと、なるべく高く買えるモノは買う、売れるものは売る。高く買って高く売るっていうか。そういうスタンスなんですね。なるべく高く買ってあげた方が、リピーターがまた本を持ってきてくれるじゃないですか。店買いの場合ね。

(小宮山)それは、店によって違うね。いろんなやり方があって。

(平 尾)ホントに専門化していくほど、それなりに高く買ってその筋の本が集まるようにしたい、っていうのはあるけど・・・。その人で終わりじゃないし、その人が学校に帰ってあそこ行って高く買ってくれるよっていうのもある。でも今、なかなか高く買えないから。やっぱり売れていかないからどうしても安くなっちゃう。その辺がね。

(司 会)さっき、売れない本がたまると大変だってお話が出ましたけど、実際、その売れなかった本って、どうされるんですか?

(平 尾)ウチはね、捨てちゃう、損しても。しょうがないから。

(奥 野)結局、廃棄するんでも、お金かかるから。

(平 尾)もちろん、いったん値段は下げますよ。値段を下げていっても、最終的に売れなければ捨てちゃう。

(司 会)他の皆さんはどうですか?

(小宮山)ウチは土、日はガレージセールやって。リサイクルのリサイクルでね。

(平 尾)理工書の場合は、違うからないなあ・・・、ホントに売れない本は、売れない。技術が変わっちゃって、売れないとかもあるし。

(奥 野)文芸書とは違うもんなあ。

(小宮山)一長一短だよね。でも、理工書の新しいところは、わりと高い値段で売れるし。

(奥 野)そうそう。専門書は定価が高いから。

(小宮山)だけど、買い値も高いわけだし。浩一郎のところなんかは、神保町で理工書っていったら、明倫館一本立ちだからさ、ライバルがいない辛さなんだよね。だから、自分ちで在庫を抱えるでしょう。ヤバイ、同じ本が3冊もある、5冊になっちゃった。で市場出そうってなったときにライバルがいれば、買ってくれるわけですよ。それがないわけよ。ただしあれだけいい場所にあってバンバン売れているわけだから、品物はほしい、と。そうすると市場で誰よりも高く買ってあげると。他の人も結構高くなるから、市場に出そう、明倫館さんに買ってもらおう、っていう気持ちで出品するわけですよ。だから浩一郎のところも、買おうと思えば、市場に出ている理工書を、普通2万円で買っているものを、極端な話だけれど、2〜3千円で買うこともできると思うんですよ。だけど、それやっちゃうと、もう2年後には、品物がなくなっちゃうとかさ。だから、いつもお父さんが頑張って、高い値段で買い落とすっていう作業をキチンとやっている。それをゲソってると半端にしか品物が集まらなくなっちゃうの。

(平 尾)簡単に言っちゃえば、そうですね。

(司 会)商品を集めるのは、品揃えを充実させたいっていうのがあるじゃないですか。それは、持ち込みと交換会がメインになるんですか。

(全 員)そうですよね。

(高 林)あとは昔から蔵にためておいたものとか、お客さんのところに買いに行くとか。

(小宮山)ウチは、宅買いがメイン。

(平 尾)ウチは、全然行かない。

(小宮山)ホントにね、いろんなところに行くからおもしろいけどね。電話がかかってきて、内容を聞いて、車で行くわけ。

(司 会)で、たとえば小宮山さんのところは、ジャンルが多岐にわたってますけど、そうじゃないお店の場合は、自分のお店に合うものしか、買い入れないんですか?

(小宮山)いや、そのために交換会があるんじゃない。これとこれとこれはこの値段で、他のものはこの値段でって買ってくるでしょ。でも自分ちじゃ売っていないもの、たとえば俺が買いに行ったら理工書が混ざってた、と。これは市場に出そう、そしたら明倫館が高く買ってくれる。

(平 尾)俺は断っちゃう。ウチは文学書の問い合わせがきても、じゃあ小宮山さんのところにお電話してください、って断っちゃう。

(高 林)ウチも断っちゃう。

(纐 纈)ウチも断る。

(司 会)でも、自分のお店の欲しいジャンルであれば、行きますよってことですか。

(平 尾)基本的には行かない、送ってくれって。基本は送りですね。

(奥 野)それはねえ。でも嫌がる人はいるよ、モノにもよるでしょう。

(高 林)でもね、行って元が取れなくっちゃ。一応話を聞いてみて、本の筋があるじゃないですか。それでウチにだぶりが多かったりするものになれば、近くで売っちゃってくれって、言いますよ。

(奥 野)そうなんだ。じゃあ、まだまだ生きる道があるかもしれない(笑)。

(平 尾)ウチの場合は客から電話があった、その本がよく交換会にでてますよ。「あ、これ言ってたやつだ」って。

(纐 纈)ウチも、おじいさんとかが「必要なかったら、燃やしちゃう」って言ったら、本はやっぱり生かさないと。捨てられちゃうくらいだったら、送ってくださいって、送ってもらう。

(司 会)久里のところは、そうやって集めていかなかったら、どんどん消えていってしまうものね。

(纐 纈)やっぱり少なくなっていくでしょうね。昔どの市場も遅くまでやっていたっていうのは、それだけ本が多かったってことだし。

(奥 野)あと、本が集中してたんだよね、神田に。今みたいに、いろんな地区に支部とかなくて、神田がとりあえず古本の中心。とりあえず神田しかないっていう状態だったから、多分集中した。まあ本の量が多かったっていうのもあると思うけど。

(小宮山)いやあ、市場がシステム化されて、すべて早くなったからじゃない?

(司 会)奥野さんのところも、宅買いに行きますか?

(奥 野)宅買い?行きますよ。とりあえず関東近県までだけど。

(小宮山)行くよ、どこでも。イヤなところとかもあるんだよ。公団マンションとかでさ、すっげえ、持ってるんだよ、ホント部屋にギッチリ。それで二段重ねとかで奥も本で。それが5階で階段だけ、とか・・・。埃だらけできったない家とかもあるんだよ。全部縛って、ガアーってやって、ひざなんてブルブル笑っちゃうくらい。俺はこの若さにしてギックリ腰3回やってるんですから。でもねえ一応商売だし、キチンと買ってかないとしょうがないしね。

(司 会)それは、その場でその大量の本に値段をつけてくるわけですよね。

(奥 野)自分の分かる範囲でね。分かんないものとかもあるけど。

(司 会)で、この束でこのくらいになりますよ、ってつけてくるんですよね?

(小宮山)でもさ、仕入れもテクニックがあるからさ。

(司 会)どういうテクニック?

(小宮山)そういうのは、あんまり聞かないでもいいんだよ(笑)なんでもそうだけど、段取とか手順とかってあるでしょ。知ってる本、知らない本。僕の知ってる作家のこの本は、この値段だったから、これの方が珍しいな。でもこっちの本はいっぱいある。そういうのは当然安くなる。そういう基準でバアーって組んでいってさ。何冊かしか良い本がなければパッパッと抜いて、この本だけでこの値段になります、他の本はダメだから、全部入れても値段はそんなに変わりませんよ、と。やっぱり心変わりしちゃうお客さんとかもいるから、鉄則としては、最初に一番欲しい本から、運びだしちゃう。

(司 会)私も、前にトシちゃんの写真集を売りに行って「男もののアイドルは安いんだよね〜」とか言われて、「じゃあ、いいです」って、売らないで、持って帰ってきちゃったもん。

(小宮山)そのときに、ホントにこれは結構珍しいし、欲しいからって言うと、喜ぶお客さんもいるし、逆にそんなこと言うと、もっとお金になるかもしれないって引っ込められちゃうかもしれないから、それはもう話術っていうかさ、相手が何を思ってるのかだよね。

(高 林)お客さんの方が利口だから、1冊ずつ出してくるよね。

(平 尾)それ一番困るよね。いっぱいあった方が、僕らもふみやすいし、高い値段を言いやすいんですよ。リスクヘッジがあるから。どんどんふんでいって、じゃあ全部でこれだけっていえるけど、少量だとやっぱり安くなるわけですよ。小出しに出してくると僕らも値段を言いづらい。

(司 会)売ろうとするなら、たくさん出した方がいいですか?

(平 尾)その方が僕等としては高値を言いやすい。お客さんにとっては、純粋にその本がいくらか知りたいっていう人もいるし、高く売りたいから小出しにするっていう人もいるだろうし、それは分からないけど。

(纐 纈)「これはあそこの古本屋さんではいくらだったんですけど」って言ってくる人もいる。

(平 尾)それはその店に行ってくれた方がいいよ。

(纐 纈)ホントに。後から言うんだよね、値段言った後に。

(司 会)久里も宅買いに行ったことはあるの?それは商品からいって、やっぱりおばあちゃんとか?

(纐 纈)若い人もいる。おじいちゃん、おばあちゃんは死んじゃって、本が出て来たっていう場合もあるし。

(奥 野)「代々持っていた本を売りたいんだけど」っていう人とか。引っ越しとか改装するからとか、そういうきっかけで。

(司 会)ホームページの話に戻るんですけど、神田では開設してる古書店は増えているんですか?

(奥 野)ブックタウン神田っていうのに集約して、全店掲載しているよ。もともとは神田古本祭りでお客さんへのサービスとして、検索のために三省堂の一階に設置したんだけど、5年位前にホームページが普及してきた頃に、それをイベントの一環としてネット上に開設してみようってはじまった。全店を載せましょうと。だから個々の店がそれぞれ開設してる訳じゃないけど、店名を入力すればその情報を見られるようになってる。

(司 会)ホームページを開設してから、新しいお客さんが増えてきたっていうことはあるんですか?

(平 尾)お店によって目録重視とか、お店での販売重視とか、力の入れ所はいろいろだから、一概には言えない。

(高 林)神田にある利点として、なにもホームページに出さなくても、お客さんが集まってくるから、ここに店を構えてるっていう人もいるし。

(奥 野)年代を問わず、ホームページを見て来ましたっていう人はいるかな。

(平 尾)でも、メールの方が売買に関しては多いかな。「この本ありますか?」ってメールで問い合わせがきて、あったら返信してそれで買ってくれるとか。

(纐 纈)単にお店の宣伝になるから、ホームページに載せるっていうお店もあるし。

(平 尾)ウチはあんまり力を入れてないから。更新もあんまりしてないし。努力すれば売れるんだろうけど今はそこで売るよりは、やっぱりお店でっていうところかな。維持するには、それなりに人と時間とお金がかかるし。そうなると、その代金を本に上乗せすることになるでしょ。今は幸いお店が忙しいからだけど、「ゆくゆくはホームページにも力を入れなくちゃいけないのかな」って、親父とも話してる。

(奥 野)理想的には、お店とホームページと両立できればいいんだけどね。

(纐 纈)ウチは宣伝という意味でホームページを使ってて、英語版を掲載したらそのとたんにパソコンに英語のメールがたくさん届いちゃって、今、大変!!

(奥 野)いいじゃない、進歩してんなぁ。新しいお客さんを捕まえてる!!外国からアクセスが来るっていうのは、本来のインターネットの使い方だよ。

(纐 纈)だから、今は英語の力が必要になって、勉強することはまた増える訳だから大変だけどやってますね。

(奥 野)他の言語も増やしていったりとか。

(纐 纈)英語だけであたふたしてるのに、これ以上なんて!!仏語で載せたらフランス人からメールが来たりとか・・・。でも英語まででしょ。

(奥 野)でも、翻訳するとタイトルが変わっちゃうか。日本のタイトルをそのままの意味で伝えるのってよっぽどの人じゃないと難しいよね。大屋書店の商品なんかは、外国にもコレクターがいると思うから、比較的やりやすいかもしれないけど。

(司 会)インターネットはこれから必須になるかもしれないですね。

(奥 野)でも、インターネットだけで商売できるかって言ったら、やっぱり店もちゃんと維持しないといけない訳でしょ。だから両方かな。

(平 尾)「この前棚にこんな本はあったんですが、その他にこんな本ありませんか?」っていうような照会のメールが、多い時だと日に5件位届いたり。そうやってメールで注文くれる人のほとんどが、一度店に足を運んでくれてことのある人。目録販売だけだったら、商品が届くまで気が気じゃないと思うよ。届かなくておかしいなと思って行ってみたら店がなかったりとか。

(纐 纈)でも、今そういうのって増えてきてるじゃないですか。

(平 尾)注文を受ける時に前金でもらうしね。

(纐 纈)ウチも前金制。

(司 会)代々続いてきた店を継ぐことのプレッシャーってありますか?

(全 員)そりゃ、あるよ!

(纐 纈)男の人が多い業界だから、特に私はやっぱり最初は戸惑った。力仕事も多いし。その点で男の人と比べるとやっぱりキツイ。ウチは和本だから比較的軽いからまだいいけど。

(奥 野)う〜ん、どうだろうなぁ。女の子だって力持ちはいるし、だんだん筋肉付いてくるでしょう。

(纐 纈)まぁ、私も普通に筋肉付いてきたと思うけど(笑)。同年代の女の子がいないっていうのは心細かったけど、男の子で友達はいたからね。でも、仕事となるとそんなこと言ってられないもんね。あとはプレッシャーって言えば、やっぱり自分の代でお店をつぶさないことでしょう。

(奥 野)うん、やっぱりそれに尽きる。継続させるってことだよね。

(平 尾)あと、紙の本がなくなったらっていう心配はある。そういう点で、久里ちゃんのとこなんか逆に生き残っていける可能性が有るんじゃないの?扱っているものが江戸時代のものだし。

(纐 纈)私、まだあんまりそういうこと、考えたことないけど・・・。

(平 尾)まぁ全部資料として美術館に入ってしまえば別だけどさ。

(奥 野)でも、これから新しく出版されるってことはないよな。

(平 尾)例えば出版社が紙の出版はもう辞めて、全てネット上で公開しますってことになったら・・・。

(奥 野)それはねぇ俺はいろいろ考えてるけど、そんな近々のことではないよ。

(平 尾)でも紙の本を読むのって僕たちの代まででしょ。

(纐 纈)そうだよね。次の代がね・・・。

(奥 野)でもそれはその時考えればいいじゃん。

(平 尾)コンピュ−タ画面見てるのって限界がある。やっぱり紙で見たい人間はいなくならないとは思うけど。

(奥 野)俺もそう思うんだよ。コンピュータを使ってると分かるけど、読むスピードが全然違うんだよ。

(纐 纈)目が疲れるしね。

(奥 野)そんなに集中して見てられないでしょ。本を読んでも目は疲れるけど。だってパソコンの解説書があれだけ本の形で売れてるんだから。それはやっぱり本がいいんだよ。

(纐 纈)そう言われればそうですよね。私も奥野さんのところにパソコンの解説書買いに行ったもん。でもこれからそういったジャンルの古本の需要って増えるかも。

(平 尾)今、パソコン関連書を扱っているのはウチと奥野さんのとこくらいかな?

(奥 野)古本屋に入ってくる量はまだ少ないけどね。三省堂や書泉に行ったら、すごい量が置いてあるもんね。

(纐 纈)バージョンの古い本が欲しい時には、古本屋を探すといいかも。

(司 会)最近ブックオフがたくさん出店してますが、その影響ってありますか?

(奥 野)神田にはまだないけど、環七より外側はけっこうできてるよね。

(高 林)でも神田にも出店したいらしいよ。

(奥 野)いやぁ、商売にならないでしょう。だって場所代が高いし。

(高 林)マイナス覚悟で「ブック・オフ」っていう名前を売るために。

(奥 野)草古堂は三井海上のところにできたよね。

(平 尾)ブックオフが驚異なのは、八王子の佐藤さんがこの前ゴルフ行った時に言ってたんだけど、いわゆる汚い・キツイ・暗いっていう3Kで、店構えはちょっと古めかしくて入り難い古本屋さんでも、いい本を売る素晴らしい古本屋さんって、郊外でもたくさんいる訳ですよ。でも入り難いっていうことで、お客さんは専門書でもブックオフに持っていってしまう。でも買ってくれない訳ですよ。ブックオフに行っても理工書は売ってないでしょ。もちろん和本なんか置いてないし。で、持ち込んでも買ってくれないから捨ててしまう客さんもいる。それが怖いね。神田まで行くもの面倒臭いから嫌だしって捨てられてしまえば、リサイクルはそこで終わってしまうっていう風に言っていた。だから、近くの古本屋さんに持って行って、一度は「こんな本はどうですか?」って聞いて欲しいよね。だってそんなことで和本捨てられちゃったらどうする?

(纐 纈)焼いちゃうおばあちゃんとかもいるって聞くしね。

(平 尾)古本屋にとって一番怖いのはそれだよね。

(司 会)あと取次の方に聞くと、携帯の普及が若い子の本の購買に悪影響を与えてると聞きましたが。

(奥 野)そうだよね。出版物として本を読むのが、多分自分達の代が最後なんだよね。生まれた時から今まで一度も紙の本を使ってない人はいないし、学校では教科書を使ってきたしね。ゲームもあったけど絵本も読んだし。でもこれからは生まれてから本に触らない世代が出てくるんだよ。

(平 尾)例えば黒板がなくなって、更に先生も画面の中とかね(笑)。そうなってくると眼の構造も変わってくるのかもしれないし。

(奥 野)で、昔の人はなんでこんな紙の本で読んでいたんだってことになったりね。ペーパーレスの時代がやってくるかも知れない。

(平 尾)ドラえもんがやって来た時代みたいに(笑)

(奥 野)両親も本なんか読ませないとか。

(纐 纈)そうなってしまうのかなぁ。

(司 会)そうなると古本屋さんもCD―ROMなんかを扱うようになるのでしょうか?

(奥 野)今もすでに扱っているけど、あくまで本で出版されたものをROMにしてる訳でしょ。やっぱり本で育った人は本の方が便利だよね。

(高 林)でもROMを扱うのってどうなんだろう。ちょっと傷が付いているだけで使いのもにならなかったりするでしょう。パソコンに入れてみたら全然動かなかったりとか。そうなると、返品できないでしょう。

(奥 野)その時は出版社に言うしかないよな。

(平 尾)百科事典もCD―ROM版が結構出てるしね。チェックしようと思っても、封を開ける訳にはいかないし。開けてしまったら、値段だって下げないといけない。

(奥 野)恐らく出版社の場合は一枚でも二枚でも追加でプレスできるんだよ。印刷物と違ってデジタルだから。

(平 尾)基本的には、何か問題があったら出版社に言ってもらうか、申し訳ないけど、ウチに持ってきてもらったら返金しますよと言ってるんですけど、今まではないですね。

(高 林)でも、インストールだけしてその後「これ壊れてますよ」って持ってくる人もいるかも知れない。

(奥 野)買ってからの期間もあるよね。一週間位なら何とかなるけど、二ヶ月経ってからとかは厳しい。

(司 会)本がどれだけ集められるかっていうことが、古本屋さんにとって最重要課題なんですね。

(高 林)いやぁ、それよりどれだけ売れるかってことでしょう。集めるのは、僕らは親父たちが築いて来たベースがあるから。どうやって売るかってことの方が大変ですよ。

(司 会)ここにいる皆さんのお店は特徴がハッキリしているし、それを知っているお客さんたちが本を持ってきてくれますよね。

(高 林)そうだね。他のお店ではほとんど扱ってないジャンルだから。

(平 尾)逆に親父たちの話や姿を見てると「他の店で扱ってないものだから、ライバルがいなくていいね」ってお客さんに言われることもあるけど、それはそれで苦労はあるんですよ。そのジャンルの本をお客さんが持って来てくれたら、ウチが買わなかったらどこも買ってくれないってことはわかってる。で、その本の相場は下がってるし、更に在庫もたくさんある時、お客さんに相場があるってことを分かってもらわなくちゃいけない。でも「この本5,000円でかったのに、どうして1,000円なんだよ」って。お客さんとしては、わからないですよ。タカさんの所もそうですよね。

(高 林)そうだよね。ウチも特殊はジャンルだからね。持って来てくれたら、買ってあげなきゃって思うし。

(平 尾)それが結局、売らなきゃってことになるし。

(高 林)売りに来てくれるってことは、多分他の本を買ってくれる。

(纐 纈)でなければ、前に買ってくれてるとか。

(高 林)本に販売した店のシールが貼ってあって、その店にまた売りに行くと高く買ってくれる。このことはお客さんにもっと知ってもらいたいね。たいていの店がシールを貼ってるから。

(奥 野)俺もお客さんに言ったことがある。「買った店に持っていくと、もっと高く買ってくれますよ」って。

(平 尾)逆に売れる本を僕らは知ってるから、高く買い取れない時でも、その理由をちゃんと説明できる。理不尽に安い値段を言ってる訳じゃないんですよってことを。前はその本の相場が高かったけど、今はそうでないってこともね。

(高 林)それでもやっぱりウチのシールが貼ってあれば、例え在庫がたくさんあっても買いますよ。できるだけ高くね。

(平 尾)そう、限界内でできるだけ高く。

(高 林)やっぱり自分のところで売った本だから買ってあげなきゃっていう気持ちは、古本屋にはあるよね。

(小宮山)ウチはね、昔は日曜・祝日休みだったんだけど、年中無休にして。神保町を見ても、いろいろだけど、ウチとお客さんのと話だからやりたいことを俺はやるよっていうさ。親父がさ、前に病気して、今は元気なんだけど、俺のやりたいようにやれと。それで、どんどん変えてって。社員たちにも話をしてさ。こんな時代だから、明日から全然売れなくなっても、おかしくないじゃない。土・日営業することで、ちょっとでも上がっていけばさ、平行線でもいいわけじゃない。何もやらないで、下がりっぱなしになっちゃったら、10年後には大きな差になっちゃうわけじゃない。怖いなあって思うから、今から手をうっておけば、なんとかなるじゃない。

(司 会)土・日は客層が違ったりしますか?

(小宮山)土曜日はいっぱいくるからいいんだけど、日曜日は、ホントに買う人はあんまりこない。本好きの人がふらっときちゃうだけなんだよね。でもやってて損はないしお客さんだって、いつ行ったって営業してるって結構いいじゃない?

(司 会)そうですよね。気軽にいけますよね。

(小宮山)社員にも、カレンダーどおりの休みの日数はあげてるわけですよ。で、家族がいる人だとかは、日曜日休んでもいいよ。そのかわり平日出てね、とか振り分けて、アルバイト入れたりして、やってるわけですよ。だから休みっていうのは保証されてるし、たとえば2週間連続で出勤して、連休とるのもかまわないよって。

(司 会)やっぱり、昔とは違うかなって感じを受けますね。

(小宮山)昔からやってる通りのやり方が良いこともあるんですよ。お店の品位を崩さないとかね。それには全然反対しない。でもウチはそうではないし、ウチはお客さん主体で考えていって、もちろん自分らも良くならなきゃしょうがないし。やってるサイドとしてはさ、別に本屋さんだからって特殊な経営形態もってるわけではないし、やりたいようにやればいいんだから。

(司 会)交換会、宅買い、持ち込み、とありますけど、一番割合が多いのは、どれですか?

(小宮山)それは、店によって全然違うけど、ウチは宅買いが多いね。足りないものを市場で補う。欲しいものだけを市場で買ってくる。どんな面白いものが転がっているかわからないから、市場には毎回一応顔を出すけど、買わないときもある。

(司 会)ここ数年で、一番高い買い値ってどのくらいですか?

(小宮山)どうだろう。やっぱり洋装本って、どんなに高くっても100万とかそのレベルじゃない。それをやりつつ、肉筆物にも興味があるから最近結構買ってるんですよ。泉鏡花の肉筆物があって、それを市場で買ったのが190万だったかな。この前、三島の原稿を130万で買って。あと書簡を86万とかさ。

(司 会)結構、肉筆の原稿とかよく出て来るものなんですか?

(小宮山)そうだよ。それは市場でだけどね、もちろん宅買いでもあるよ。

(司 会)でも、そういうふうにお客さんと店とのかかわりもあるし、店どうしのかかわりもあるし、そんなふうなシステムができてるところがすごい。

(小宮山)でもそれは魚やさんだって、八百屋さんだって、みんなきちんと形態もってるからね。特に本だからって特別なんじゃない。またきちんとした本を知ってる人は、古本屋さんっていっても、あんまり見下したりしないけど。日本なんて、ほんと歴史があって、これだけいい書物が買える国なのに、すごく地位が低いよね。だから、そういうのの底あげとかは、結構したいと思ってる。

(司 会)海外ではアンティークだとか、古書っていうと響きがいいんだけど、「ふるほん」って言っちゃうと、どうしてもイメージが悪いんですよね。それから最近、チェーン店ができてるじゃないですか。ブックオフとか。新古書とかが多くなってきちゃってるんで、一般人は、そっちの方がイメージ的に定着してきてますよね。

(小宮山)そうそう。それはしょうがないんだけど、こっちが強くなっていかないといけないし、強くなっていけば、そういう評価がとれると思うんだよね。

(司 会)ブックオフだとかが勢力をのばしてきて、きつい部分だとかありますか?

(小宮山)どうだろう。そりゃあ、郊外の本屋さんの隣がブックオフだったら、つぶれちゃうよね。それであがいている、俺の良くしてもらってる先輩がいて「うん絶対負けないよ、平気」って言ってる。頼もしいし、きっと負けないと思う。本を知ってるから。向こうはバイトがやってるわけじゃない。でも、お昼の「笑っていいとも!」とかの時間帯にバンバン放送されたら、そりゃあ、すごい影響力だろうけど。日本全国の古本屋のイメージっていうのは、ブックオフになっちゃうよね。ただ、そんなのには負けたくないし。まだ当分神田にはブックオフは進出してこないと思う。採算あわないし住んる人がいないから、仕入れがないじゃん。

(司 会)ただマンガ等も 神田にはあるんですよね。

(小宮山)絶版マンガやさんは多いよね。そういうカテゴリーでいえばね。ただ普通のマンガも売ってるよね。でもそれを否定はできない。神田をいい町にしたいから、そういうの止めてくださいって言えないでしょ。みんな死活問題なんだから。ウチの上はバーになってるんですけど、そこの書斎に夏目漱石とか森鴎外とかの原稿が飾ってあるんですよ。その戦略っていうのもおもしろくてね、宣伝とか出さないで、エレベーターの横にちょっと小さな看板つけてただけで、一切出さなかったの。最初は、口コミで人が人を呼んでくれてね。だから、有名な雑誌の人とかくるけど、絶対に宣伝しないでねって。その代わり僕がくるから大丈夫だからっていう人が、新しい客さんを呼んできてくれて。どこの店でもそういう提案っていうのはできるわけじゃない。西洋の版画に負けないものができるよ。

(司 会)でも、そういうふうに自分でいろんな提案をして、実践しているお店と、お店の特徴もあると思うんですけど、やっていないところとは差がつきそうだよね。

(小宮山)だから仲間は当然大切だけど、努力してるんだから、それなりに差がつくのもあたりまえだろうって。で差がつく。当然資金が違ってくるわけだから、買える本も変わってきて、そうしたら、どんどんパワーバランスも変わってくるんだから。一生懸命やってないとね。神田にもいろいろいるわけですよ。

(司 会)三代目っていっても、いろんな三代目がいますもんね。

(小宮山)三代目だから辛いんだよ。なくなるから、財産が・・・。せっかく作られた格をぶちこわしにする必要はないけど、格だけに甘んじていたら、やられてしまうからね。10年、20年の間に変わってくと思うよ。ただね、一番何が守られてるかっていうと、大店舗が通用しないでしょ。魚やさんだったら、デパートができてしまえば、ツライわけですよ。ただ、ウチらは、でっかい三省堂さんだとかが軒を連ねているにもかかわらず、共存共栄できているっていうのはさ、その古書の特徴がすごい出ているよね。

(司 会)いきなり話題は飛びますが、古本屋さんになって良かった、これがこの仕事の魅力だよなってこと、ありますか?

(奥 野)いいところも悪いところもあるから、何とも言えないけど・・・。

(司 会)両方聞かせて下さい。

(高 林)買ったものを、自分で値段つけて売ることじゃない?

(小宮山)今まで他の店は見向きもしなかった本を自分で相場を作っていって、それが相場になっていった時は結構嬉しいよね。極端な例だけど他の店では、3,000円位で売っているものに、ウチでは6,000円位つけてもいいんじゃないかと。それをお客さんに受け入れられてバンバン売れて行ったりとかね。そうすると、あれっ、俺が相場作ってる?って思ったり。

(一 同)う〜ん、あるある。

(奥 野)それに、お客さんと話が合った時ね。客さんってコレクターでもある訳で、その人に「こういう本ありませんか?」って聞かれた時に、「それは最近見かけない」とか、「これはこういういきさつで高くなった」だとか、いきさつまでちゃんと話ができて、「ああ、そうなんですか」って納得してくれた時が一番嬉しい。

(纐 纈)私はまだまだそういう経験は少ない。大学の時やってたこととは少し違うジャンルだけど、仕事でありながら文学系の勉強ができるっていうのが嬉しい。研究者の人は研究をするけど、本屋さんは書誌学や色々なものを勉強する。ひとつを深く研究する訳じゃないけど、私にとっては好きなジャンルのうちに入るから。

(小宮山)なんだよ。勉強してるじゃん、久里(笑)!!

(纐 纈)だって本をたくさん読めるじゃない。普通の本だけじゃなくって、原典とかも。

(司 会)皆さん、基本的に本は好きなんですか?

(平 尾)いやぁ、どっちかって言うとかなり嫌いだなぁ。(笑)

(奥 野)学校の勉強以外はほとんど読んでないしなぁ。

(纐 纈)それで、学校の勉強嫌いだから。

(小宮山)市場に行って全然分からない本があった時、資料で調べて値段つけるじゃない。「本当に売れるかな」って心配になったり、親父にブーブー言われたりするんだけど(笑)。それが高い本だと、ちゃんと話しをしないとお客さんも買ってくれない。でも、自分の話に納得して買ってもらえた時っていうのは、「やったぞ!!」って、スゴく嬉しい。

(奥 野)やっぱり買ってくれた時は一番嬉しい。

(纐 纈)私はまだ1年とちょっとで、自分で値段つけたものが売れたこともあるけど、まだまだ。その時はやっぱり嬉しかったけど。

(小宮山)久里ちゃんははじめて1年で自分で値段つけて、それが売れてるんだから、幸せだよね。ただ、その品物がだんだんランクアップして行く訳じゃない。

(纐 纈)それは父に聞いて全部値段をつけてるんだし・・・

(小宮山)皆そうだよ。最初から自分で全部なんてできないんだしさ。だんだん経験積んでいって、タカちゃんだって最初の内は「全然わかんない」なんて言ってたのに、今は結構高いもの扱ってるでしょう。俺はタカちゃんより年下だけど、この仕事を始めたのは早かったから、初めの頃から見てる。タカちゃんの店のジャンルは堅いから、俺にはできないって思ったし、大変そうだなって。

(高 林)今も大変だけどね(笑)。

(小宮山)でも、最初は調べることが十あるけど珍しくないものであれば、調べることなくなるじゃない。更に上を目指そうとするから、大変なんだけど。市場の経営員をやってるとタカちゃんも入札の時の札の数が最初の頃より全然多くなってる。同じ世代のライバルが成長してるのを見てると、負けられないぞって思うしね。

(司 会)皆さん、ライバル心ってあるんですか?

(小宮山)ないけどね(笑)。でも頑張ってるとか、そうじゃないとかは、札見てると全部分かる。この人のところ辛そうだなってところも、札には出るからさ。一番シビアなものが札だから。

(司 会)高林さんが一番嬉しかった経験ってなんですか?

(高 林)さっきも言ったように、やっぱり自分で値段つけて、それが売れた時かな。

(小宮山)オリンピックに出たことじゃないの?(一同爆笑)

(高 林)古本屋って忙しいっすよ。見てると店番してて暇そうなイメージあると思うけど。市場行ったり、仕入れ行ったり、値段つけたりとか、すごく忙しいんですよね。

(平 尾)ウチの場合は市場に行くっていうよりは、タカさんもそうかもしれないけど、親父のことを見ながらやってる。慶太さんや奥野さんみたいに、親父さんとは別のジャンルに力を入れてる店とは違って、親父のやってることをどれだけ吸収できて、発展させることができるかってことだから、親父の褒められた時が一番嬉しいのかなぁ。

(一 同)(関心して)おぉ!!

(平 尾)あんまり褒められたことないけど(笑)。親父って褒めないですよ、基本的に。逆に褒めないようにしてるのかも知れないし。

(小宮山)俺は逆だよ。親父が自分の言うことを「そうだね」って聞いてくれた時が一番嬉しい(笑)

(奥 野)なるほどねぇ。

(司 会)ご自分で伸ばしたジャンルってあるんですか?

(平 尾)市場に行っても親父さんが入札するジャンルと、慶太さんが入札するものっていうのが違うんですよ。ウチは親父は入れてるジャンルを入れるんですけど。

(小宮山)昔から近代文学は扱ってたんだけど、今の俺の目から見るとかなり足りない物もあったから、自分が文学を担当することになって三島由紀夫に関しては全国でみても、かなりイケてると思う。その自信も付いて来たし、お客もつけたし。あと中上健次だとか。でも、専門で扱ってる店には、かなわないって思う時もあるけど。まぁ楽観主義者だから「まぁ、いいや。今はまかせておこう。でもいずれは・・・」と。今売れる作家から少しずつ充実させていってる。

(司 会)需要のあるジャンルって、どうやって見極めるんですか?

(小宮山)幸い、神田っていう場所柄、お客さんがたくさんが来てくれるし、買っていってくれるのを見ていたり、宅買いに行って入ってくる本があったりで、1,000円って値段つけて、出すとすぐ売れてしまって「ちょっと安かったかな?」とか。それで少しずつ値段を上げて行ったりして。

(平 尾)皆そうだよ。で、思いっきり値段つけてみたら、それでも売れちゃったりとか、売れなかったりとか。

(小宮山)そう。高すぎず、でもなるべく高くみたいな。

(奥 野)僕はまだだけど、横尾忠則とかの美術書を始めて。友達とか結構好きな人がいてね。最初は彼の本だけだったんだけど、それに関係した本を集めていくと、写真家とか三島由紀夫も時代的に関係してるし。これからは夢二の本とかも扱って行きたいと思っている。

(司 会)だいぶ時間も経過しましたので、そろそろ終わりにしたいと存じます。本日は長時間ありがとうございまいした。


(この章の後記にかえて)

この座談会は、日本エディタースクールの学生3名が卒業制作として企画した、本の街・神田タウン誌のために催されました。

本誌の方は短く要点をおさえて掲載してありますが、ここではなるべく多くの会話を収録しました。司会が古書の世界には素人の、かつ若い女性たちであることも手伝ってか、出席者の口も普段着で喋っている様子で、面白い座談になりました。

神保町の後継者たちが2000年現在、これからの仕事や神田の街の将来にたいして、どんな風に考えているのか、素直に描かれているように感じます。この子?たち、そして御承知のようにこの場にはいませんが、この前後の年頃の後継者たちが数多く、いま本の街に育ちつつあります。お読みになった感想は如何でしょう、安心した?不安になった?考えが甘い?頼もしい?生意気?・・・・。

ともかくも21世紀の古書の街は、やがて彼らの双肩にかかってゆくことになります。どうぞ若い世代に篤いご支援を。

最後に、編集者は10年20年のち彼らが、この座談をどんな顔で読み直すのかが、密やかな楽しみなのであります。