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          「神保町ドットコム」第00001号 (2000/10/01/)

L'autome deja! Mais pourquoi regretter le soleil eternel,
si nous sommes engages a la decouverte de la clarte divine? -----Rimbaud
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◎創刊号目次
1.本の街・神田 イベントスケジュール
2.本の街・神田 三代目座談会 あとつぎ物語
3.神田古書店連合目録 第1号〜第10号 全1100ページ超完全収録!
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4.[書斎訪問]   第1回 澁澤龍彦の書斎 画像420枚、動画5本一挙公開!
5.[古書店訪問]  第1回 中野書店
6.[所蔵機関訪問] 第1回 弥生美術館
7.宮武外骨編集「絵葉書類別大集成」の楽しみ 第1回
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もう秋か。それにしても、なぜ永遠の太陽を惜しむのか?
私たちは、聖なる光の発見にこころざす身ではないのか。-----ランボー
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●本の街・神田イベントスケジュール
http://www.book-kanda.or.jp/news/
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- 9月8日〜10月14日 「近代名家文人墨跡」展 八木書店古書部3階展示場 03-3291-
8221
→http://www.books-yagi.co.jp/antiq/index.htm
- 9月29日〜9月30日 和洋会即売展 東京古書会館 03-3293-0161 
- 10月6日〜10月7日 愛書会即売展 東京古書会館 03-3293-0161 
- 10月13日〜10月14日 洋書まつり 東京古書会館 03-3293-0161 
- 10月18日〜11月3日 「徳田秋声とその周辺」展ー漱石、芥川未発表書簡など 八木
書店古書部3階展示場 03-3291-8221 
→http://www.books-yagi.co.jp/antiq/index.htm
- 10月20日〜10月21日 ぐろりや会即売展 東京古書会館 03-3293-0161 
- 10月27日〜10月29日 神田古本まつり特別即売会 東京古書会館 03-3293-0161 
- 10月27日〜11月3日 神田古本まつり青空掘り出し市 岩波会場 03-3293-0161 
- 10月27日〜11月3日 神田古本まつり青空掘り出し市 三省堂会場 03-3293-0161 
→http://www.book-kanda.or.jp/News/2000/ivent00.htm
- 10月28日〜10月29日 神保町ブックフェスティバル すずらん通り、さくら通り、
小学館前 03-3293-0161 
- 10月28日 - 「なつかしい絵本の原画展」田河水泡、いわさきちひろ他 東京・お
茶の水スクエアC館3階12号室 03-3294-2266 
- 10月28日 ‐本の学校・神保町シンポジウム2000 御茶の水スクエア 0859‐31
‐5001
→http://www.hon-no-gakkou.com
- 11月3日〜11月4日 愛書会即売展 東京古書会館 03-3293-0161 
- 11月10日〜11月11日 趣味展 東京古書会館 03-3293-0161 
- 11月17日〜11月18日 東京古典会下見展観大入札会 東京古書会館 03-3293-0161 
→http://www.kosho.ne.jp/~kotenkai/
- 11月24日〜11月25日 和洋会即売展 東京古書会館 03-3293-0161 
- 12月1日〜12月2日 書窓会即売展 東京古書会館 03-3293-0161 

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萩咲くや四谷見附になぜか佇つ    波郷
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本の街・神田 三代目座談会 あとつぎ物語
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出席者 奥野浩史/纐纈久里/小宮山慶太
高林孝行/平尾浩一郎
司 会 加藤友美/白井/山田智子
     (日本エディタースクール)

(司 会)まず自己紹介してくださいますか?
(小宮山)小宮山です。今、神田支部の役員で文化厚生やっています。訃報のFA
X流したり、まあ楽な仕事ですよ。
(平 尾)今、奥野書店のオヤジさんが神田支部のトップで、脇に3人いて、その
下に僕ら3人がいて、7人でやってるんですよ。
(小宮山)ウチは古本屋と、上の階で飲み屋さんもやっています。結構、編集の人
とかが大勢来ていますよ。本屋は俺で3代目です、昭和14年から。おじいちゃんが
、もともと一誠堂書店で修行して、独立してから店を出したんだけどね。
(司 会)そういう修行とかって、結構あるみたいですね。
(小宮山)うん多い。ウチにも何人かいた時期もあるし・・・、その話はあとにしよ
うか。
(平 尾)明倫館書店の平尾です。うちは理工学書の専門で、僕も3代目です。創
業は、確か昭和16年。ウチは、おじいちゃんがどこか丁稚へいったとかではなくて
、徳島のほうから出てきて、大学を出たあと、いろんな商売やって。なんか本郷で
八百屋さんやったりとか、でも全部失敗して、古本屋さんに・・・。
(小宮山)そういうの、あんまり言わないほうがいいんじゃないの?(笑)
(平 尾)いや、なんか昔の月報とかに
載ってるんですよ。それで兄弟にお金を工面してもらって、はじめたらしいですね
。それから親父の代になって、やがて僕の代に。
(高 林)東陽堂の高林です。仏書を専門にやっています。僕も3代目です。創業
は、大正12、3年? だったかなあ確か。うちも一誠堂出身です。
(司 会)では、おじいさまが一誠堂の方で修行されて、独立されたんですね。
(高 林)はい、今はもういないですけど。今は親父といっしょにやっています。
(司 会)皆さん、組合の仕事の方もお忙しそうですよね。
(小宮山)でも、だいたい3人一組でやってる。からね。皆にはいつもお世話にな
っております
(高 林)忙しい時期は忙しいけど、ヒマなときはヒマですよ。
(司 会)では、次に 紅一点の久里ちゃんから・・・。
(纐 纈)大屋書房の纐纈久里です。たまたま今回、10年ぶりくらいだよね、高校
時代の友達の加藤友美ちゃん(司会の一人)と会って。お店に入ってきたときに、
似てるなあって思ったら、そうだったんだよね。
(司 会)そう。初め中野さんに3人をご紹介いただいて、平尾さんのところに行
ってから女性の後継者の方はいるのかって話を聞いていたら、大屋書房にいるって
聞いてね。じゃあ久里が実際に手伝い始めたのは、1年くらい前からなの?
(纐 纈)うん、1年ちょいだね。
(司 会)じゃあ、皆さん、すみませんがベロベロにならないうちに、ちょっとお
店のPRをお願いします。今回は、若い人を対象にした神保町のタウン誌づくり、
ということなんです、結構今 は活字離れとか言われてるじゃないですか。そうい
う人たちに、「古本屋ってオモシロイんだぞ!」っていうアピールなどあれば・・・
。
(小宮山)って言うけどさ、昔からね、本を読む人は読んでいるし、読んでない人
もいっぱいいたわけよ。だから結局は一緒だと思う。やっぱり今でも読んでいる人
はちゃんと読んでますよ。
(平 尾)僕ね、大学生のときとか、社会人になってからもチャリンコとかで行っ
て、電車乗ってなかったから、全然本読んでなかったの。それで、最近電車通勤に
なって、電車乗るじゃないですか。そうすると、自分も読むし、周りの人もメチャ
メチャ読んでる。
(司 会)平尾さんは、電車で通われているんですか?
(平 尾)今はね。それまで、店の上だったんですけど、最近、結婚したんで。
(一 同)おめでとうございます!
(司 会)じゃあ、皆さんは幼ななじみなんですか?
(小宮山)久里もちっちゃいときから知ってたもんね。
(高 林)親父が同じ年くらいだからね。

▼この続きはこちらで
http://www.jimboucho.com/kanda_column/index.htm
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3.神田古書店連合目録 第1号〜第10号 全1100ページ超完全収録!
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神田名物の古本まつり青空堀出し市で、神田古書店の「連合目録」が発行され
ているのはご承知のことと思いますが、この「連合目録」のバックナンバー

第1号(第16回古本まつり・昭和50年/目録刊行の第1号)から
第10号(第25回古本まつり・昭和61年)まで

11冊分の全ページを画像として完全収録して公開しました。1号あたり約100ペ
ージありますから、11号で約1100ページになります。

古い目録をじっくりとごらんになれば、いろいろと発見があると思います。
「神保町ドットコム」では「連合目録」のバックナンバーをすべて公開する
予定です。ご期待ください。
※次号では11号から20号までの目録の公開を予定しています。

▼「神田古書店連合目録」のバックナンバー11号分の画像はこちら
http://www.jimboucho.com/catalogue/index.htm
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4.[書斎訪問] 第1回 澁澤龍彦の書斎 画像420枚、動画5本一挙公開!
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▼澁澤氏書斎の取材ノート

八月半ば、まだ盛夏たけなわの頃でしたが、北鎌倉の澁澤龍彦宅を訪問してきまし
た。
書斎は渋澤氏の生前そのままの形で残されており、渋澤氏がちょっと席をはずした
だけといったたたずまいです。

よく雑誌に「作家の書斎」といった企画ページがありますが、あれの一番の問題点
は、作家の書斎といいながら、書棚の本が何なのか、いくら目を凝らしても分から
ないことではないかと思っておりました。

ですから、自分がそういう企画を実行するときは、徹底的に書棚の本の背文字が見
えるような形で取材してこようと思ってました。渋澤氏の書斎を見せていただける
ことになって、さっそく「背文字完全読破計画」を実行に移しました。

取材時間とデータ量、それに背文字まで見えるように撮影するという条件を考える
と、望遠つきのデジタルビデオカメラで書棚をなめていき、画像はあとでそのビデ
オテープから静止画として切り出すというのが一番合理的な方法ではないかと思わ
れました。

▼取材ノートの続きと澁澤氏の書斎 静止画像420枚、動画5本はこちら
http://www.jimboucho.com/study/index.htm
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5.[古書店訪問]  第1回 中野書店
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中野書店は神田神保町交差点のすぐそばにある神田古書センターの2,3,5階の3フ
ロアーを占めている。2階はカレーの店ボンディが奥にあるので、お馴染みの方も
多いだろう。

中野書店はコミック関連の古本を探している人々が多く訪れる店なので、コミック
の専門店と思っている向きもあるが、インタビューでも触れられている通り、コミ
ックは中野書店のレパートリーの一部であり、コミックを含めた大衆文化関連の書
籍が多く揃えられているし、近代文学などの稀覯本も多い。映画のポスター、少年
雑誌の付録など、書籍以外の刷物も人目を引く。月一回発行している「古書倶楽部
」による目録販売では書籍全般を扱っている。

[中野書店概要]
101‐0051東京都千代田区神田神保町2‐3
神田古書センター 2・3・5階
http://nakano.fms.co.jp/

●2、3階「漫画部」
コミック全般、稀覯漫画、漫画家色紙、コミック・アニメ雑誌、同人誌、原画、色
紙などtel 03-3261-3528 fax 03-3261-3467

●5階 「古書部」
文芸稀覯本、名家肉筆、古典籍、貴重本など
tel/fax 03-3261-3522

●目録販売「古本倶楽部」
文芸、美術、歴史、科学など古書全般の目録販売。目録は月刊。
tel/fax 03-3288-7862 nakanos@blue.ocn.ne.jp


営業時間 平日 午前10時〜午後6時半
   日曜祝日 午前11時〜午後5時半(毎月第1、第3日曜定休日)
----------------------------------------------------------------------

▼中野書店店主 中野智之さんインタビュー

●もともと中野さんは九州の方ですよね。

中野 ええ、九州の久留米でして、うちのおやじが古本屋を始めたのは、昭和22年
だったと思います。

●中野書店の成り立ちに関しては、あまり雑誌なんかでも取り上げられていないよ
うに思いますが。

中野 そうですね。取材とかがあるときには、話がどうしても漫画のほうにいって
しまいますからね。そのほうが話題性があるからでしょうが、でも、中野書店は、
ご覧になっていただけばわかるように、漫画の専門書店ではなくて、漫画はあくま
でも店の一部であると私は思っています。

●やはり手塚治虫の「新宝島」25万円という、あの印象が強いですからね。

中野 そうですね。あれは神保町にくる前につけたものでしたけど、当時は漫画の
古本屋というのがなかった時代ですから、やはり印象が強かったようです。最近は
取材にこられる方に、漫画以外のことも聞いてくださいとお願いしてるんですがね
(笑)。どうも若い方というのは、本に対する基本的な知識が少ないようです

●久留米でお店を始められたときは、最初から「中野書店」の名前だったのですか
。

中野 正確に言うと、うちの父と父の兄とが出版をやりまして、それが失敗して、
残務処理などをしているときにずるずると古本屋になってしまったようです。

●戦後、地方でもいろいろと出版を始めた方がいましたが、そういうののひとつだ
ったんでしょうか。

中野 そうでしょう。一冊出してつぶれてしまったんじゃないかと思いますが。

●扱っていた本はどんなものだったんでしょうか。

中野 いわゆるセコハンで、本全般だったと思います。

●久留米のほうのお店はいつまで?

中野 昭和34年までです。

●それですぐに三鷹に出てきたんですか。

中野 ええ。なんで最初から神田に出てこなかったのって聞いたら、やっぱり神田
というのは怖かったらしいですね。

●三鷹に出てきた頃に、すでに神田に出てきたいという気持ちはあったわけですか
。

中野 いえ、その後、しばらくしてからみたいです。神田に店をもつなんてとんで
もないという気持ちだったようで。

●三鷹で落ち着いてから?

中野 ええ、三鷹の店が火事になったということもあって、それからですね神田に
出て行こうかと考えたのは。

●三鷹はどちら側ですか。

中野 南側です。桜通りというところで。昔、三鷹文化という映画館がありました
が、あのそばです。

●三鷹はいつまで?

中野 昭和50年までです。火事があった年です。そのあと2年して、神保町の古書
センターがオープンしたので、そこに入れていただいて今日にいたっているという
ことです。

●「新宝島」25万円というのは、あれはいつのことでしたか。

中野 あれは三鷹が火事で焼けてしまったあとに仕入れたもので、それを小田急に
出したものだから、51年になるのかな。

●三鷹の頃にすでに漫画本を扱ってたのですか。

中野 いえやってませんでした。まったくやってなかったということはなかったで
すが、いわゆるプレミア本としてはやってませんでした。

●昭和50年頃、古書市には中野さん、青木書店さん、江東文庫さんなどが漫画を出
していたような記憶がありますが。

中野 その頃はポツポツという感じで出品してたんじゃなかったでしょうか。漫画
をやっていたのはその3軒くらいだったでしょう。昭和50年というのはちょうど漫
画の境目だったんですね。プレミアがつきだしたのはちょうどあの頃からでしたか
らね。それまでも個別にはあったのかもしれないけど、目立った形ではなかったで
すね。私個人としては、突然ぼんとブームがきたような記憶があります。

●智之さん自身が本格的に店にかかわるようになったのはいつ頃からですか。

中野 神保町に出てきてからですね。ちょうど学校の終わる頃と重なってまして、
大学の4年ごろから店にきだして、卒業してから本格的にはじめました。

●また「新宝島」に戻りますが、あれはお父さんが付けた値段ですか。

中野 そうです。まったくおやじの目だけです。当時私は高校生でしたが、私自身
が、なんでこんな値段をつけるのかと驚きました。若い方が驚くというのは変な話
なんですが。私はその頃、本の値段をあまり知らなかったんですが、本好きで、本
の値段に詳しい人も驚いたんじゃないかと思います。あれは実は三島由紀夫さんの
値段と同じなんですね。手塚さんと三島さんは年が近いでしょ。三島さんは昭和19
年に「花ざかりの森」でデビューしてますね。手塚さんが昭和21年です。ですから
、三島さんと同じくらいの値段をつけたのではないかと私は思っているんです。

●古本屋さんには常連のお客さんがいますけど、その人たちからの情報が影響して
いるというのはあったんでしょうか。

中野 いえ、うちに関してはそういうものはほとんどなかったように思います。全
部手探りで値づけをしていったようです。ですから今から当時の値段をみますと、
かなりでこぼこがあるじゃないかと思います。「バンビ」とか「ピノキオ」とかが
高いとかSF三部作が高いとかいう常識が今はありますが、当時はフラットに古いも
のから徐々に安くなるというスタイルでつけていったんじゃないかと思います

●すると漫画コレクターが中野書店に来るようになったのは、やはりこちらの神保
町にきてからということになりますか。

中野 ええ、それとこちらに来る前に1年に一回吉祥寺の近鉄に出品していました
が、それがすごかったですね。その当時、店がなかったので、1年間ためたものを
どっと出してたので、かなり人気があったみたいですね。小田急のほうは漫画だけ
ではなかったんですが、近鉄のほうは漫画だけの催しでしたから。あれは印象が強
かったらしく、お客さんの中には今でもそのことをなつがしがってらっしゃいます
ね。

●神保町にきてからしばらくして、初期作品集を次々に出してきますね。

中野 あれは完全に私の仕事です(笑)。珍しいものを復刻しようやと、勢いでや
った仕事なんです。お客さんの中に水木さんと縁のある方がいらっしゃって、紹介
していただいて出版の了解がもらえてスタートして、あとはまったくこちらで開拓
していって続けたわけです。

●その後、稀覯本を始められたんですか。

中野 それが誤解なんです(笑)。こちらのほうが先でして、稀覯本は三鷹の時代
から展示会に出してたんですよ。みなさん漫画のほうに目がいってしまうんですが
、漫画はうちの扱っているものの一部だったんです。近鉄の漫画の展示会の頃も、
それと平行して肉筆本や初版本は扱ってました。

●それは久留米の頃からですか。

中野 いや、久留米の頃はまったく街の古本屋でした。東京に出てきて、いろいろ
な影響があって、それで稀覯本を徐々に扱うようになったんでしょう。たとえば「
麒麟の会」というのがあって、その方たちと徐々に親しくなってきて大衆文芸が目
に入ってくるようになったし、あとは反町さんのほうにも行ってましたから、古い
本のことも知識として入ってきました。そうやって徐々に広がっていって、うちの
おやじさんが古本屋としてステップアップしていく中に、漫画も一部としてあった
ということなんですね。

 「麒麟の会」のスタンスがうちの大衆文芸のスタンスになっているといってもい
いのではないかと思ってます。子供のものもあるし探偵ものもあるし漫画もありま
すね。ですから漫画だけじゃないんですが、ただ漫画がマスコミに受けやすいので
、どうしてもうちのことを取り上げるときに漫画に集中してしまうということがあ
るんですよ。

 大衆文芸についても、今では「ドグラマグラ」というとすごいですが、あの当時
は愛書家の中でも知っているのはごく少数の方だけでしたよね。ですからあまりお
おっぴらではないんですが、当時のコレクターの方にはいいものを持っている方が
いらっしゃいます。私どももかなわないかなあ、と思う方がいますよ。

▼中野書店の画像150枚はこちらへ
http://www.jimboucho.com/bookstore/index.htm
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6.[所蔵機関訪問] 第1回 弥生美術館
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日本に美術館は数多くあるが、弥生美術館はその中でももっともユニークな美術館
の一つといっていい。ここが収蔵し展示しているのは明治・大正・昭和の主に雑誌
を彩った挿絵などの出版美術関連の作品で、他にこのような収蔵機関はない。(最
近、各作家別の美術館は少しずつ出てきているが)。

開館は昭和59年6月1日。設立者は弁護士の鹿野琢見氏である。
鹿野氏は昭和4年、9歳のときに、当時一世を風靡していた挿絵画家・高畠華宵の「
さらば故郷!」という一枚の絵を見て感動。これが運命的な出会いとなり、やがて
高畠華宵の晩年を看取ることになった。鹿野氏は高畠華宵作品の多くを収蔵し、華
宵の死後はその作品の著作権継承者となった。このコレクションが弥生美術館の土
台となっている。

その後、コレクションは拡大し、大正ロマンの源流・竹久夢二とその流れを組む画
家の蕗谷虹児、加藤まさを、中原淳一ら、さらに小村雪岱、木村荘八、河野通勢ら
が加わった。竹久夢二のコレクションは弥生美術館から独立して「竹久夢二美術館
」となったほど充実している。さらに「立原道造記念館」も併設されて、現在、こ
の三館が並んでいる。

弥生美術館の歩みについては、別記した弥生美術館企画展のタイトルをみていただ
くのが一番早い。それらの企画展が開催されたときに作られたポスターの多くも画
像として撮影してきたので、それらがどのような展示会だったかの雰囲気がつかめ
るはずである。

▼この続きと弥生美術館の企画展の一覧表、館内の画像はこちら
http://www.jimboucho.com/library/index.htm
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7.宮武外骨「絵葉書類別大集成」の楽しみ 第1回 
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外骨が収集し分類した「絵葉書類別大集成」というアルバムコレクションは、初め
て見た人はおそらく誰でも唖然としてしまうだろう、そういう編集作品である。

日頃見なれているもの、よく知っていると思っているものを、何か新しいもの、見
なれていないもの、未知なるものに変形することをアートというのならば、宮武が
このアルバムの編集でおこなったのはまさしくアートというしかない作業である。

だが、絵葉書を並べるだけでアートができるのか? にわかには信じられない話で
ある。たとえば女の顔をキャンバスに描くのは社会的にアートと公認された行為で
ある。だからそれがどんなに下手くそに描かれていてもアートであることは疑われ
ないですむ。

外骨がやったのは、たとえば女の顔が映った絵葉書を大量にアルバムに並べていく
ことだった。これは普通はアートとは考えられていない作業である。どんなに先入
観にとらわれていない人でも、「絵葉書」と「アルバム」という先入観はあるから
、その二つを使ってアートができるとは思っていない。だから、その二つを使って
アートが行われていることに気がついたときには唖然とするわけだ。

しかし一度この未知なる表現形式を受け入れて、へんてこなアルバムが繰り広げる
世界に入りこんでしまうと、次々に展開する思いがけない絵葉書の組み合わせが面
白くて仕方がなくなってくる。はっきりいってこのアルバムには中毒性があって、
一度入り込むと、いつまでもアルバムの世界に浸っていたいと思うようになってく
る。

こうやって外骨の編集の妙をじっくりと堪能しながら、ワンダーランドを探検して
いるうちに、また別の世界が開かれてくる。今度はそれらの絵葉書1枚1枚が語りか
けてくる世界の面白さに目覚めてくるのである。

絵葉書の題材はまさに森羅万象。戦前の日本の風景や風物、日常生活の一こまなど
、あらゆる断面が封じこめられている。テレビもラジオもなかった時代にあっては
、絵葉書は画像を載せて発信するメディアとして、現代の写真週刊誌のような存在
だったようだ。事件や災害の速報写真あり、人気女優のクローズアップあり、話題
の人物や話題の場所の紹介ありで、ちょうど写真週刊誌のページをばら売りしてい
るようなものと考えればイメージがつかめる。

素材としての絵葉書自体を楽しむ時間は大げさに言えば無限といってもいいくらい
長い。なにしろ絵葉書の数は2万8000枚もあるのだ。1枚を1秒で見ていったとして
も2万8000秒かかる計算になる。実際は思わず見とれてしまうものや、細部を拡大
してためつすがめつして見ても飽きないものなどが少なくないから、全部を一通り
みるだけでも相当の時間がかかるはずだ。

しかし、こんなことをいくら言って見ても、現物を知らない人にはほとんど意味を
持たないだろうから、代表的なアルバムのページをサンプルとして、ともかく見て
いただこう。

たとえば「並ぶ」というアルバム。
解説は無用と思うが、やはりどうしても一言いいたくなるのが、女性が踊っている
列と軍隊が並んでいる列を隣り合わせにしているところや、人間の並んでいるのと
魚が並んでいるもの、並木が並んでいるものなどを「同列に扱っている」個所だ。

歌舞音曲の列と軍隊の列を同列に扱うのは、意表を突いていて、その手際の鮮やか
さに唖然とはさせられるが、軍隊への「批判的視点」というくくりの中に入れてし
まうことができないわけではなく、そういう「批判的視点」を感じると、その中に
は少なからず人間的な感情も感じることができる。

だが「魚と人間」とか「人間と植物」とかを並べているところになると、「批判」
や「冷笑」などを感じることはできなくなり、「喜怒哀楽」すべての感情から離れ
てしまった人間が、ただ静かに人間の営みを眺めている、あるいは「観照している
」、そういう不気味な感じが現れてくる。

もうひとつ、「笑う女」というアルバム。
ただ笑っている女が続々と出てくるアルバムだが、見ているうちに「笑う」という
ことが何とも分けの分からない、不気味な、意味不明の行動に思えてくる。簡単な
言葉で言えば「異化作用」なのだが、それを造形でやったり舞台でやったり文学で
やったりしないで、つまり作品を作るという形でやらないで、ありあわせの絵葉書
でやるというのが、誰にも考え付かないところだ。素材が平凡きわまりないもので
あればあるほど、その異化作用は効果的であり、印象は並外れたものとなる。これ
を一度見た後では、「女の笑い」について、見る前と同じように感じることはでき
なくなるといってもいいくらいだ。

(続く)

▼外骨の「絵葉書類別大集成」の画像はこちらへ
http://www.jimboucho.com/special/index.htm
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編集後記
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神田古書店連盟の公式サイト「Book-Town神田」の応援月刊マガジン「神保町ドッ
トコム」の第1号をお届けします。

このメールマガジンの目的は、ネットのユーザーの方が「Book-Town神田」にアク
セスしてくれることであり、そこで本を買ってくれることであり、また神保町自体
に人がやってきてくれて、「神保町がどっと混む」ことです。

ごらんになっていただけば分かるように、このメールマガジンはホームページと完
全連動型でして、しかもそのホームページには1000ページを超える目録バックナン
バーをはじめとして、澁澤龍彦氏の書斎の画像420枚、中野書店150枚、弥生美術館
が60枚、それに動画も置いてありますから、読み応えというか見ごたえは十分では
ないかと思います。

読者の方々のご意見、ご要望、ご批判、ご感想などをお待ちいたします。
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編集:神田古書店連盟 http://www.book-kanda.or.jp
企画・発行:株式会社経葉社http://www.keiyou.co.jp
(C)2000 神田古書店連盟・経葉社 All rights reserved.
※本誌の記事の無断転載を禁じます。
※special thanks to
澁澤龍子様、中野智之様(中野書店)、中村圭子様(弥生美術館)
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